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観察記 その6

今回の映画『しんぼる』は、細かい笑いの要素を沢山沢山ちりばめています。
その笑いの作り方が本当に監督らしいというか、監督以外の人には無理なやり方のように思えます。


基本的な事は会議で決めた事を準備しておくのですが、撮影現場に行くと「ん~」と監督が
悩み始めます。
会議の時は『あれでええかな』と思ってもいざ撮影となると『もっとおもろいもんはないんか』と探し始めるのです。
まさに笑いの無限地獄です。
だっておもしろい事を思いついた瞬間「もっとおもろいのは?」って探し始めてしまう訳ですから。


そんな事もあって、スタジオには美術さんが用意した膨大な小道具が箱に入れられて置いてあります。
監督や僕らは1シーン1シーンと撮影が終わるたびに、小さい控え室兼会議室に籠り、
次のシーンの整理が出来ると小道具を見ながら「これであんな事が出来るなあ」と
考え出すのです。
撮影チームからしたら「この後、一体どんな事を撮るんだろう」と不安に
なった事と思います。
でもそれが一番おもしろい芸人さんが監督を務める映画の撮影の仕方なのです。


昔、キューブリック監督の映画『シャイニング』のメイキングを見た事があります。
そこでキューブリック監督は、セットのテーブルの上で次のシーンの台本をタイプライターで打って
いたのです。
そして用紙に色がついていて最新の台本はどれだかわからなくならないように色を変えながら
書いていました。その横で主演のジャックニコルソンが「この台本が決定稿に
なるんですか」と聞くとキューブリックは「わからない」と答えていました。


まさに今回の『しんぼる』と同じだなって思いました。
でも一つ違うのはキューブリックは主演をしてない事。
ジャック・ニコルソンとキューブリック2人の仕事を松本監督は一人でやっているんですから
大変だと思います。


さて、そんないろんな笑いのトラップを僕らは沢山仕掛けました。
多分1回見ただけでは気付かないような小さなものもあります。
ですから1度と言わず2度3度と足を運んでみて発見してください。