皆さん、本当にありがとうございます。
『しんぼる』無事に初日を迎える事が出来ました。
前回の『大日本人』は情報を完全に出さない状態で、初上映もカンヌで行ったのですが、
今回は2作品目という事もあり、試写会も行い、ある程度映画の中身もわかった状態での公開。
試写会の反応も上々でしたが、初日も舞台挨拶以外の回も満員でした。
お客さんの反応も非常によくて、グッズもかなりの売り上げと聞き、うれしく思います。
思えば映画が完成して約半年。
監督的には宣伝活動でかなりハードだったと思います。
他の映画だったらいろんな出演者がいて、各々が宣伝で稼働してくれますが
今回はほとんど一人でしたから。
そういう映画制作以外の苦労も報われた初日だったように思えます。
僕もこれで一般の映画館で大きなスクリーンで何度も見れるようになったので、
時間があれば通って観ようと思います。
ありがとうございました。
撮影が終わった時、僕たちスタッフはみなホッとしました。
やはりいろいろ含めて3ヶ月以上、その場で考えて、その場で作っていくという
毎日がとんでもないプレッシャーだった訳ですから。
しかし監督はクランクアップしたにも関わらず難しい顔をしていました。
そして僕らにポツリとこう言ったのです。
『編集でもう少し点数を上げるから』
これは今まで撮影したモノは監督の中では100点満点で70点位。
それを編集やMA、アテレコ、CG合成などをする事によって
100点まで持っていくという意思なのです。
つまり監督は撮影しながらOKも出してはいるんですが「もう一つやな」「頭の中のイメージではもっとおもろいねんけどなあ」と考えていたのです。
それは編集作業に入ってみんなにわかる形で現れる事になります。
今まで撮ったものと編集をほどこしたものでは笑いの量が全然違うのです。
中にはイメージ通りにならないので取り直したシーンもあります。
(CMでも流れている「犬」のシーンです)
編集のスタッフによると24分の1秒といった細かい編集もあったそうです。
そういう期間を経て遂に完成した「しんぼる」が間もなく公開になります。
是非皆さん劇場に足を運んでください。
今回の映画『しんぼる』は、細かい笑いの要素を沢山沢山ちりばめています。
その笑いの作り方が本当に監督らしいというか、監督以外の人には無理なやり方のように思えます。
基本的な事は会議で決めた事を準備しておくのですが、撮影現場に行くと「ん~」と監督が
悩み始めます。
会議の時は『あれでええかな』と思ってもいざ撮影となると『もっとおもろいもんはないんか』と探し始めるのです。
まさに笑いの無限地獄です。
だっておもしろい事を思いついた瞬間「もっとおもろいのは?」って探し始めてしまう訳ですから。
そんな事もあって、スタジオには美術さんが用意した膨大な小道具が箱に入れられて置いてあります。
監督や僕らは1シーン1シーンと撮影が終わるたびに、小さい控え室兼会議室に籠り、
次のシーンの整理が出来ると小道具を見ながら「これであんな事が出来るなあ」と
考え出すのです。
撮影チームからしたら「この後、一体どんな事を撮るんだろう」と不安に
なった事と思います。
でもそれが一番おもしろい芸人さんが監督を務める映画の撮影の仕方なのです。
昔、キューブリック監督の映画『シャイニング』のメイキングを見た事があります。
そこでキューブリック監督は、セットのテーブルの上で次のシーンの台本をタイプライターで打って
いたのです。
そして用紙に色がついていて最新の台本はどれだかわからなくならないように色を変えながら
書いていました。その横で主演のジャックニコルソンが「この台本が決定稿に
なるんですか」と聞くとキューブリックは「わからない」と答えていました。
まさに今回の『しんぼる』と同じだなって思いました。
でも一つ違うのはキューブリックは主演をしてない事。
ジャック・ニコルソンとキューブリック2人の仕事を松本監督は一人でやっているんですから
大変だと思います。
さて、そんないろんな笑いのトラップを僕らは沢山仕掛けました。
多分1回見ただけでは気付かないような小さなものもあります。
ですから1度と言わず2度3度と足を運んでみて発見してください。
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『オーディション』
今回の『しんぼる』は日本人の役者は松本監督ただ一人。
あとはほとんど外国人なんですが、有名俳優は皆無。
すべての役者さんをオーディションで選びました。
そのオーディション方法というのが、監督ならではの選び方なのです。
監督第一作『大日本人』でもそうでしたが、演技が上手とか、そういう事を監督は一切無視します。
その役者さんがかもしだしている雰囲気や、その人の素の部分のおもしろさ(役者さんは全く
気づいていないと思いますが…)で選んでいます。
ですので時々、僕らスタッフも『え?その人?』って思うような人を採用するんです。
でも、本番になるとその人がいい味を出すんです。
中には演技で選んでいないので、後になって演技指導で苦労する…なんて事もあったりは
するんですが、たいがいは良い方向に転がります。
『大日本人』で言うと名古屋の電変場のおじさんやバーのママさんなど、普通の映画では絶対
オーディションで落ちるような人が大活躍してました。今回もそんな『当たり』の
無名の外国人俳優さんがたくさん出ています。