LIVElog/@ぴあ | 「LIVE FACTORY 2009」@Zepp Tokyo

「LIVE FACTORY 2009」@Zepp Tokyo

夏イベントの前半を熱く彩ったロックイベント「LIVE FACTORY 2009」
今年はバラエティに富んだメンツが7/18、Zepp Tokyoに集結。
その熱さ加減を余すことなくお届けします!

*写真は後日アップ予定!

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フジテレビ系の音楽番組『FACTORY』主催による「LIVE FACTORY 2009」は、真夏のフェス・シーズンの始まりを告げるようなイベントとなった。
司会はムッシュかまやつとPUFFYの吉村由美、DJは坂田かよというメンバーでの進行。
出演者の音楽のジャンルの幅が広いということもこの「LIVE FACTORY 2009」の醍醐味のひとつと言えそうだ。
もともと音楽にはジャンルの垣根などというものも存在しない。
自らの感覚を解放して、音楽にどっぷり浸ることこそがこうしたイベントの最良の楽しみ方だろう。

トップバッターとして登場したのは横浜出身のレゲエグループ、FIRE BALL with JUNGLE ROOTS
JUNGLE ROOTSの奏でるエネルギッシュなグルーヴに乗って、FIRE BALLの4人の歌声がダイレクトに届いてくる。
ロック系のアーティストの参加が多かったこともあって、彼らは「アウェイ」という言葉を使っていたけれど、彼らのレゲエ・ミュージックの魅力はこの日の観客にもしっかり届いたのではないだろうか。
ダンスホール・レゲエを軸として、パーティー・チューンからシャープなメッセージが刺さってくるナンバーまで、バラエティーに富んだ構成。
「SUMMER TIME」では加山雄三の「お嫁においで」の一節を挟みつつ、夏の空気がたっぷり詰まった歌を披露した。
「伝えたいメッセージがあって、ここに来ました」とのMCもあったが、その言葉どおりに「戦車」などでは彼らの“平和への思い”もダイレトクに伝わってきた。
楽しむ音楽、踊る音楽、感じる音楽、そして考えさせる音楽などが渾然一体となっていて、彼らの音楽の多様性も見えてきた。

続いて登場したのはツインギター、ツインドラムを擁する5人組のロックバンド、髭(HiGE)だ。
1曲目の「D.I.Y.H.i.G.E.」から激しく観客をあおって、不穏な空気を撒き散らしていく。
サイケデリックかつポップかつパンキッシュな演奏が気持ちいい。
ツイン・ドラムとベースによるビートも強力だ。
「この前、できたばっかりの曲」という須藤の紹介で演奏された新曲「Are you ハッピー??」は存在感のあるベースのリフで始まるトリップ感あふれるナンバー。
ニューウエイブやニューヨークパンクのテイストを持ちながらも、今の時代の空気も備えている。
“Are you ハッピー??”というフレーズがまるで呪文のように響き、シュールな世界へと観客を誘っていく。
須藤が客席に降りて、歌う場面もあった。彼らのライブの魅力とは予定調和とは正反対のところにあるのだろう。
続いて演奏された「ミスター・タンブリンマン」は不思議な叙情が魅力的だ。
こうした詩的な世界を構築できるところにもこのバンドの魅力がある。
彼らの奏でる音のうねりに、そして混沌した空気に浸っているのはとてもスリリングだ。

3組目はTHE ZOOT16 GB Version
アーティスト名の表記は長いが、たったひとりのステージだ。
THE ZOOT16とはTOKYO No.1 SOUL SETのギター&ボーカルの渡辺俊美のソロユニットで、GB Versionというのはバンド編成ではなくて、彼がたったひとりでギターとバスドラとマイクとで演奏する時のスタイルを表している。
ひとりであるということは必然的にサウンドはシンプルになるのだが、それゆえに浮き彫りになることもある。
ラテン風の哀愁の漂う「愛のテキーラ」、ベンチャーズ風のギターで始まっていく「時の記す鐘をならせ」など、エモーショナルなメロディーとリズムとが連動して、歌心あふれる世界を形成していた。
村下孝蔵の「踊り子」のカバー、TOKYO No.1 SOUL SETの「Innocent Love」のセルフカバーなども披露。
座りながらの演奏で、ハットをかぶって、胸には赤いバラと、伊達男風のいでたちで、どことなくレトロな空気が漂っているころも個性的だ。

4組目はLOW IQ 01 & MASTER LOW
ソロアーティストであるLOW IQ 01 に、サポート・メンバーが加わって、ロックバンド形態でステージをやる時に、“LOW IQ 01 & MASTER LOW”と表記されているのだが、この日はツインギター、キーボード、ベース、ドラム、パーカッションなどの編成で、曲によって、フルートやサックスに持ちかえたりと、パートの自由度は高い。
つまりそれだけ様々なサウンドに対応できる、ということだ。
が、基本はロック。
1曲目の「FAY」からハードでソリッドでヘヴィーなサウンドでぶっ飛ばしていく。
ポップなメロディと歯切れのいいリズムが魅力的な「TOAST」では観客もハンドクラップしながら、盛り上がっていた。
モッシュ&ダイヴもあり。
新曲「BETTER」は疾走感あふれるナンバー。
初お披露目ということもあってか、歌を間違ってしまったりもしたのだが、何曲か歌った後で、演奏し直すという場面もあった。しっかり歌を伝えたいというこだわりの強さとフットワークの軽さ、柔軟さもLOW IQ 01の持ち味だろう。
最新シングル「NOT ALONE」は温かな歌声が印象的なナンパー。
メロコア、ミクスチャー、パンク、スカ、レゲエ、ファンクなど、様々なジャンルの音楽のエッセンスを吸収しながらも、勢いがあって、人間味のあふれるステージだった。

続いて登場したのは浅井健一だ。
彼以外のメンバーは土屋昌巳(ギター&コーラス)、岡村美央(バイオリン)、中條卓(ベース)、椎野恭一(ドラム)という編成になっていた。
土屋昌巳はかつてBLANKEY JET CITYの作品にプロデューサーとして参加していたという流れはあるのだが、こうしてバンドの一員として、浅井とともにステージに立っているのは新鮮な構図だ。
まずは「二人の旅」から。
浅井の弾き語りでの歌に、バイオリンが入ってくる始まり方。
陰影のある歌と演奏が魅力的だ。
「ペピン」はバイオリンが抜けて、フォーピースで。
浅井の歌と土屋のギターとがスリリングな空気を生みだしていく。
「新しい風」では浅井の繊細な歌声と広がりと深みを備えたバンドの演奏に聴き惚れた。
「FRIENDLY」のフォーキーな世界も新鮮だ。
印象的なギター・リフのユニゾンで始まったのは最新シングル曲の「Mad Surfer」だった。
このあたりから、さらに浅井と土屋の2本のギターが有機的に絡み合っていく。
鋭利なナイフのような切れ味抜群の「危険すぎる」、表情豊かなギターを中心としたアンサンブルが素晴らしい「ディズニーランドへ」など、まさに圧巻。
ラストはガリガリのギターで空気を切り裂いていく「Diduri Didura」。
味わい深いのに、尖っている。繊細なのに強靱。
クールでありながら、どこかファンタジック。
様々な相反する要素が絶妙のバランスで共存している。
やはり浅井健一は稀有な存在だ。
彼の音楽の世界の奥行きの深さを堪能した。

かまやつひろしによる「The Birthday!」という呼び込みの発音がいいなと感心していると、4人が登場してきた。
トリで登場したThe Birthdayの演奏が始まった瞬間に、会場内の温度が一気に沸点に達していくようだった。
乗り物にたとえるならば、ジェットエンジン搭載の世界最速のレーシングカー。
悲しみも苦しみもすべて蹴散らして、彼らは突っ走っていく。
ドラム、ベース、ギター、ボーカルが混じり合った瞬間に、おっ、生きている!と感じた。
The Birthdayはすでに存在そのものがひとつの生物のようだ。
呼吸し、脈を打ち、そして雄叫びを発して、気をほとばしらせていく。
1曲目の「6つ数えて火をつけろ」で彼らは会場内を一気に発火させていった。
2曲目は一転して、「涙がこぼれそう」。
チバの「カモン!」という合図で観客も一緒に歌っていく。
強靱なバンドサウンドの奥底からじわりと哀愁がにじむ。
続いては、爽快感あふれる「カレンダーガール」。
新曲も2曲披露された。
その1曲「愛でぬりつぶせ」はタイトルどおり、愛にあふれる歌。
チバのフレンドリー&ジェントリーな歌声が新鮮に響く。
イマイのギターからも確かな人間の体温が伝わってくる。
こんなにも優しいロックンロールだって、この世の中にはあるのだ。
「ダンスしな」とチバが言い放って始まった「あの娘のスーツケース」は最強のロックンロール・ダンスナンバー。
圧倒的なグルーヴに合わせて、頭をシェイクすると、頭の中から余計なものがパラリパラリとそげ落ちていく。
後半で演奏されたもう1つの新曲「SUPER SUNSHINE」はゆったりとしたスケールの大きなナンバーだ。
悠々とした歌声、光があふれだすようなギター、どっしりと着実に刻まれるリズム。
スピードを増していって、みずみずしいエネルギーがほとばしる後半の展開も素晴らしい。
この日の2曲の新曲からはThe Birthdayが新しい地平へと踏み出していることも感じとれた。
やはりこのバンドは日々、成長し続ける生き物みたいだ。
アンコールでは「ハレルヤ」と「アリシア」が演奏された。
体内には確かな余韻が残った。
7時間近くの長時間だったが、素晴らしい音楽の中にどっぶりと身を委ねるのはやはり格別な体験だ。
フェスの季節が来たことを全身で実感した一日となった。


Text●長谷川誠

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