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ポール・ウェラー@CLUB CITTA'

昨年、デビュー30周年を迎えたポール・ウェラーが、来日公演を開催。
英国が誇るモッド・ファーザーが展開したアグレッシヴなステージ、
4月3日CLUB CITTA'公演の模様をお届け!


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多分に個人的な話になってしまうのだけれど、今回のポール・ウェラー公演を観ることができて、本当に、本当によかった。なんというか、うまく行っていなかった恋愛相手との誤解がきれいに解け、以前と同様の、いやそれ以上の強固な絆で繋がり合えたような(!?)、そんな心境だ。

ポール・ウェラーのライブを観るのは、これが3度目。決して短くない年数を生きてきた、70年代大好き、モッズ大好き、パンク大好き、そしてライブが大好きなロック・ファンにして、この大御所の来日公演に足を運んだのが3回だけというのには、理由がある。かれこれもう9年とか10年前のことなのだが、初めて行ったポール・ウェラーのライブで、悔しいような寂しいような、どうにもやりきれない気持ちを味わってしまったからだ。おそらくは本人の虫の居所が悪かったのだろうけど、Fワード入りの文句を言いまくり、ツバを吐いたり悪態をつきながらのパフォーマンスは、とても感動や興奮を感じられるものではなかった。それをロックだとする向きもあるだろう。でも筆者の目には、投げやりで、嫌々ながらこなしているだけのライブにしか映らなかった。


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その数年後。今度は夏フェス「ROCK ODYSSEY」でポール・ウェラーを観たのだが、これが実に素晴らしかった。くしくもザ・フーとのモッズ競演となったこの日は、演奏にも歌にも熱きソウルが漲っていて、そのド本気のパフォーマンスに胸を打たれた。

振り返れば、また失望させられたくなかったのだろうし、このフェスのライブの記憶を、できるだけ鮮明なまま自分の中に残しておきたかったのだと思う。それ以降、ポール・ウェラーのライブには、たとえ彼が出演するフェスに行っていたとしても、足が向かなくなっていた。

そして、今回である。なぜ観に行ったのかといえば、単に、無性に観たくなったのだ。はなはだ勝手ながら、これは、虫の知らせだったということにしておきたい。そう考えたくなるくらい、本当に最高のライブだった。全編に亘って、ポール・ウェラーのミュージシャンとしての才能と、ライブ・アクトとしての破格のスキルが、余すところなく形となって表れていた。正直、彼がここまで卓抜なプレイヤーだとは思っていなかったし、ここへ来て初めて、彼がザ・ジャム時代の話を歓迎しないことが理解できた気がする。そういう一側面から評価されるべきミュージシャンではないのだ、この人は。今さらながら、納得々々。


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セット・リストは、当然、最新アルバム『22ドリームス』の曲が軸になっているわけだが、翌日のSTUDIO COAST公演ではサプライズ的な楽曲披露もあったようだし、ジャム、スタイル・カウンシル時代の名曲を絶妙に取り入れながら、自身の豊饒な音楽キャリアをファンとともに祝すような内容で、円熟とか枯れた味わいとかとは真逆の、アグレッシヴに躍動するロッキンなポール・ウェラーを存分に堪能することができた。ギターをかき鳴らし、ピアノを詩情豊かに奏で、シャウトし、ジャンプし、拳を振り上げ……一挙一動がとにかく熱い。曲の合間には、「アリガトウ」「カンパイ!」などフレンドリーなMC。半ばおっかなびっくり観ていた筆者も、曲を追うごとにステージに引き込まれ、気づけばアドレナリン大放出状態になっていた。

個人的なハイライトは、終盤に披露されたアコースティック・セットでの『オール・オン・ア・ミスティ・モーニング』。曲がエンディングを迎えたかと思いきや、そこからホイッスルとハンド・クラップに乗せてザ・フー『マジック・バス』へとなだれ込んだ展開は、鳥肌モノだった。アンコールではスタカンの珠玉の名曲『シャウト・トゥ・ザ・トップ』も、激ソリッドな演奏で体験できたし、ポール・ウェラーに数年越しで惚れ直した、とてもとても幸福な一夜だった。

Text●鈴木宏和
Photo●森リョータ


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